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世界とは

考え事

世界とは……生きている空間のことですね。ざっくり言うと。

仏教的な考え方だと東西南北上下+現在・過去・未来だそうです。

 

大きすぎてピンとこないですねぇ。

 

なぜ急に世界のことかと言いますと、昨日叔父の死を知らされてから考えました。

 

叔父は何故死んだのか。

自死ではありませんが緩やかな自死だったのだろうと私は考えています。

何故こんなに曖昧なのかというと、叔父は昨日一昨日死んだわけではありません。

本当はもっと前に自宅の布団のなかで発見されました。警察署で遺体を預かってもらい身元の照合をしたそうです。

結果、医学的に叔父本人であることが確認されたそうです。

 

叔父は父兄妹の末っ子で、私の知っている親戚のなかでは若くてわりとバタ臭い(今あんまり使わないそうですね)顔の人でした。

いい人そうでいつもニコニコしている印象です。

奥さんと子供もいてお正月やお盆には遊びに来ていました。

 

それももう10年以上前の話ですが。

 

あるときからなんだか様子がおかしいと思いました。あまり実家に居着かない私でもそう感じるくらい。

お盆やお正月に実家に来ることは無くなり、たまに父の兄姉である叔母が何やら名前を出してはゴニョゴニョ祖母と話しているのが聞こえました。

私たち姉妹も「変だね」と話すに留まっていました。

 

数年前、叔父は職場のお金を使い込んでいたことが発覚しました。

それもギャンブルに。

ずっと家にお金も入れていなかったそうです。

 

大きな額でしたが父兄姉でお金は全て返して、なんとか職と家族を失う"だけで"済みました。

父は絶縁を言い渡し、2度と家には来ないよう叔父に言ったそうです。

"だけで"とは言いましたが、ほとんど全てを失ったと言っても過言ではありません。

家は競売にかけられていましたし、家族は皆叔父の元を去り、叔父は一人で売られる家に住み続けていました。

兄姉や祖母に頼ることもできず、離れた家族への慰謝料を払うことは不可能だったと思います。 

 

叔父の家から書類や遺品を叔母が警察署から引き取っていました。

中には眼鏡や、通帳、財布、車の鍵などが入っていました。

水道は今年の初めの方に止められていたようです。水道局からの通知書も入っていました。

どれも何とも言えない、今まで嗅いだことのない臭いがしました。

人が誰にも気付かれずに死んでしまうとは、こういうことなのか、と私は感じました。

 

しかし、気になった点がありました。

 

車の鍵です。

 

なぜ売らなかったのでしょうか。

家族の思い出が詰まっていたから?

売っても二束三文だから?

車がないとこの先、家を売ったら生きていけなかったから?

現金を持つのが怖かったから?

 

もちろん今となってはわかりません。

でも叔父の心はもう世界を受け入れる事ができないくらい壊れてしまっていたのだろう、と私は思います。

どんなに小さな世界も、どんなに小さな望みも受け入れる事ができなかったのだろうと思います。

世界は我々が生きている空間です。

私も叔父も大きく同じ世界で生きていました。もちろん父達も。

でも叔父はずっと昔に、私達の知っている世界とはもう関われなくなっていたのでしょう。

 

きっと父も、叔母も、祖母も、今回のことに悔いていることがたくさんあるのだと思います。

父達は、また新しい世界で生きていかなければいけません。

叔父を助けられなかった、叔父をどうすることもできなかったという世界で生きていかなければいけません。

 

私はそんな世界を生きる祖母や叔母、父を助ける世界を生きることになりそうです。 

 

私はお正月、ニコニコ笑いながらお酒を呑んでいた叔父さんのことを忘れないでいようと思います。

 

〇今回のお話はほとんど実話です。多少のフェイクは入っています。

〇もし同じように、何か退っ引きならない事情で死にそうな時は各自治体の福祉課に相談してください。